家は30年経てば建て替えという、なんとなく常識になっている考え方。
私たちは日々建築の仕事をする中でこの常識に疑問を感じ、
建物の新しい寿命や価値がある事に気づきました。
このことを伝えていきたいと日々いろいろな角度から考え、
使い捨ての文化ではなく「持続化できる家」を創るための「知恵」をこのコーナーでお届けしていきます!
前回からスタートしたこの連載、
2回目は「二重サッシ・断熱・床暖房」など、
この季節ならではの「寒さ対策」について語ってもらいました。
「実家が寒くて年老いた両親が辛そうなんだけど、もう古い家だし、
断熱効果の高い新しい家に建て替えるしかないですよね?」
という、諦めに近い相談をよく受けます。
それ思い込みです。
じつは暖かい家を手に入れるのは、みんなが思っているほど難しいことじゃないんだよ!
って僕はひとりでも多くの人に伝えたい。
隙間風がスースー入ってきて氷みたいにヒヤッとする床の、昔ながらの寒い家。
そんな家を暖かくて快適な住まいにするには、もちろんあちこちリフォームするのが一番。
だけど予算だってあるし、リフォーム会社との相性を見るためにも、まずは窓だけ替えてみることを提案します。
冷たい空気はどこからやってくるかといえば、間違いなく窓だから。冬場に窓の近くに行くと寒いでしょう?
一番オススメなのは、今ある窓はそのままにして、もうひとつ内側に窓を追加するプラン。真空二重ガラスに樹脂の素材でできた窓枠なら、手触りも暖かく木目調の色合いなど見た目も暖かいしお部屋の雰囲気もガラッと変わるよ。
寒さ対策だけじゃなくて、結露も防げて防音効果も期待できる。夏にはクーラーの効きが全然違って驚くはず。
6畳くらいの居間一部屋で窓2箇所だとしたら、だいたい内窓をつける工事なら25〜30万。サッシごと変える工事ならそれにプラス10万くらいでできるから、チャレンジしやすいでしょう?
暖かさで言ったら、やっぱり床暖房は最強だと思う。
ホームスタッフの事務所は床暖房を入れています。じつは、もともと倉庫だった建物をリモデルしているので、天井の高さが5・5mもあり。エアコン、ファンヒーターなど普通の暖房だと暖かさは全て上に集まってしまい、足元を暖めるのはなかなか難しい。そこで、思い切って床暖房にしたら、これが大正解でした。冬でも床暖房以外の暖房器具を使うことはほとんどなくて、出社1時間前にタイマーセットしておけば朝から快適に仕事ができます。天気のいい日には午後3時ごろに暖房を切ることもあるほど暖かいよ。
床暖房というと、昔はテーブルの下だけとか、みんなが集まるリビングの真ん中だけ設置すればいいという考え方が主流だった。でも今は、部屋面積の8割以上に設置して部屋全体を暖めてしまおうという発想。
コスト面で言うと、だいたい50万/6畳 くらい。いちばんコストがかかるのは基本の工事だから、例え広さが2倍になっても料金が2倍にはならないよ。なので、できれば広い範囲に設置したほうがいいし、一度に何部屋か付けちゃったほうが断然お得。
サッシと床をやって、さらに余裕があるなら壁に断熱材をプラスする工事をしてもいいと思う。そんなに難しいことじゃありません。うちの会社で所有している伊豆の別荘(ホムスタビレッジ)は、築40年の建物。床暖房はないけれど、天井、壁、床下の断熱材を最新のものに入れ替えて、内窓サッシを取り付けました。真冬にストーブをつける前はひんやりしているけど、つけるとあっという間に暖かくなってストーブ1台で十分に過ごせます。最新の断熱材は凄いんです。
じつは僕も最近まで気づかなかったことがあって。
伊豆に行きつけのところてん屋さんがあるんだけど、そこのおばちゃんから教えてもらったんだ。
家を暖かくするのに、サッシの交換や床暖房や断熱材はもちろん効果的だけど、それプラス床材の違いで暖かさが大きく変わるってことを教えてもらった。ところてん屋のおばちゃんは、自分の店を作るときにあちこちに無垢材を使ったんだけど、実家が材木屋だったせいで「木はあったかい」ってことを知っていたそう。
見た目が温かいというのもあるけど、実際に人工的な板でできたフローリングと無垢材でできたフローリングを触って比較してみると違いは歴然。無垢の床はひんやり感がないんだよね。最近は、完全にすべてが無垢の木じゃなくて、表面だけが無垢材でできているフローリングもあるから、大々的な工事が難しい場合は、ぜひフローリングの交換だけでもオススメしたい。もし実際に目で見たり触ったりして体感したくなったら、いつでも気軽にうちの会社に遊びに来てください。いろんな材質のサンプルもあるし、うちの自慢のコーヒーでも飲みながら床談義しましょう!
(聞き手・ホムスタHP編集部/花摘)
Copyright © Yokohama-home-staff.inc.