DIYがこんなに流行っているのに、なぜ本物の職人を目指す若者が増えないのか不思議すぎる。
職人ほどカッコイイ仕事がほかにあるだろうか? いや考えても考えても思いつかない!
と常日頃私は思っているし、この仕事を楽しんでいる。
この記事を読んだ人が、一人でも職人という生き方に興味を持ってくれたらいいな。
そんな気持ちを込めてこの連載をスタートすることにした。
なぜそんなに職人という仕事が楽しいのか? を熱量高めに語るつもりなので、
お付き合いいただければ嬉しいです!
ホームスタッフ代表 齋藤功
転機は間違いなく1980年代後半のバブル期だね。あの頃から職人を目指す若者が減ってきた気がします。当時は、どこの企業も景気がよくて好待遇だった。いわゆる3K(キツい・汚い・危険)の代表みたいな職人をやるよりも、会社勤めのサラリーマンになる方がずっと魅力的な時代でした。安い給料で何年も修行しなくちゃならない現場仕事なんて、当然人気はなくなるよね。
また、優れた技術を持つ熟練の職人たちが「仕事は見て覚えろ」という昔ながらのスタンスを当たり前のように続けていたのも受け入れられなかった理由でしょう。まずは本質的な仕事の素晴らしさを伝えないとね。他の仕事は会社説明会や研修期間で業界の魅力や仕事の魅力を丁寧に伝える時間があったりするじゃない? 今後は、これまでの職人界の常識を思い切って変えていくべき。幸いコロナのお陰で時代は大きく変わりつつあるし、サラリーマンが一番という価値観も崩れてきたよね。
子どもの頃に見た光景が忘れられなくて。まっさらな空き地に、基礎ができて、骨組みができて、日に日に家が建つのを見に行くのがすごく楽しかった。こんなにすごいものをゼロから作れる職人さんたちを見て、自分もそうなりたいと思い続けていました。
実際に職人の世界に飛び込んでみて、最初に「楽しい」と感じたのは、とにかく毎日毎日技術を身につけていけることだったな。1ヶ月も経てば別人になれる。これは普通のサラリーマンには難しいでしょう? もちろんそう簡単にマスターできない技術もあるけど、それができるようになった瞬間から一生モノの財産になる。日々確実に新しい技術が身についていく感覚は、他の仕事では味わえないものだと思います。そうしていくうちに、現場の一つ一つが自分の「作品」という感覚になるのも楽しい。現場に通うごとにどんどん夢中になっていき、子どもの頃に憧れた気持ちは間違ってなかった! と確信しました。
ズバリ「努力」が1番、「センス」が2番、その次は「弟子を持てるようになること」ですね。
何よりも自分で覚えようという姿勢を持つことかな。修行期間が長いイメージのある仕事ですが、自分から覚えるぞ! という気持ちさえあればいくらでも時間は短縮できる。難しい作業は報酬も当然多くなるので、努力次第で収入がどんどん上がるよ。それもやりがいのひとつですね。
私の場合は、同じ業種の人に施工以外の時間(呑みの席とか)にレクチャーしてもらっていたかな。あとは常に師匠の仕事を見て作業内容を把握する。先を読んだ作業を心がけることも大切です。そのためには予習復習も必要。
まあ、正直センスの問題もあるけどね。新しく始めた人を見ていると、3ヶ月ぐらいで伸びるかどうか分かります。
一般的には、まず会社や親方のところに弟子入りして一人前の技術をつける。その後は1人親方として独立し、多数の会社から仕事をもらえるようになりつつ弟子をとって育てていく、という流れが多いです。
ちなみに私の場合は、独立のタイミングで3人でスタート。1人親方よりも需要があり、会社にしやすいと考えたからです。ちょっと特殊なタイプかも。
職人は、独立したい派の人には最適な仕事。とはいえ下請け業が9割の世界で、直接お客さんを取れる人は、ほんの一握りですけれど。
何代にも渡り地元で工務店をやっていて、せっかくお客様の基盤があったのに、馴れ合いや怠慢から顧客管理や細やかなサービスを怠り、お客様が徐々に離れていってしまうケースが多いです。技術だけで仕事が永遠に続くと勘違いしてしまうんですよね。例えば顧客名簿をキチンと管理して定期的にメールや郵便物を送ったり、ホームページやSNSに最新情報をマメにアップするなど、お客様が離れないよう努力することも今後は絶対に必要。そういう点でも、子どもの頃からパソコンなどITに親しんできたデジタルネイティブ世代の若者こそ、どんどん職人の世界に入ってきて欲しい。いくらでも開拓できる部分がある世界なので面白いと思うよ。こんなに全方向ブルーオーシャンが広がっている業界って、他にはなかなかないんじゃないかな。
今回は、なぜ齋藤社長が職人になったのか? から始まり、職人の仕事についてざっくりとしたお話を聴くにとどまりましたが、次回からはあらゆる方向から職人の魅力について深く掘り下げていきたいと思います。乞うご期待♪(編集部/花摘)
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