リフォームの中でも高額な部類に入るお家の外壁や屋根の塗装工事。契約上のトラブルが多いジャンルでもあります。今回の特集は、リフォームを知り尽くした横浜ホームスタッフの齋藤、堀越。そして塗装のスペシャリスト、ペンテック代表の岡氏を迎え、外壁塗装の裏の裏までインタビュー!あまり世に出回らない、現場のリアルな情報が聞けました。是非ご覧ください!
聞き手 塗装の寿命ってよく10年って言われるじゃないですか?チラシなんかでも書いてありますし。実際どうなんですか?
岡 家のつくり方によりますよね。壁がサイディング板だったり。モルタルだったり。
聞き手 ではサイディングだったら?
岡 うん。やっぱり10年くらいですかね。いや、10年で塗装してあげれば、20年目に壁の張替えをしなくてよくなるって考えた方がいいですね。メンテナンスをしない期間が長いほど、工事の金額が掛かっちゃうという事なんですよ。
でも、一つの目安ですね。壁にいい板(壁の材料)を使っていれば、10年経っても大丈夫な場合がありますから。
聞き手 住んでいる私たちとしては、塗装が剥がれているとか、どこで張替えなきゃって思えばいいんでしょうか?
岡 うーん、そうですね…。
齋藤 剥がれてきているっていうのはね、もう末期ですよ。
岡 そうそう、手遅れ的な…。
齋藤 10年経ったからって、(壁の)全部の場所が傷んでいるんじゃなくて、弱い所から痛んでくるから、弱い所が傷んだタイミングで全体的に直してあげると家全体が長持ちするんです。
目安が10年前後って言っているのは、壁の部分は20年もつかもしれないけど、屋根のつなぎ目の所とか、壁のつなぎ目の所とか、そういう所が10年位で傷んでくるので、おおよそ10年って言われているんですよ。傷みが一番激しい所に合わせた基準なんです。
聞き手 あー、なるほど。
聞き手 屋根や壁自体を全部とって、取替えるのかと思っていたのですが…。
岡 いえ、それは高いですよ。金額をいくら出してもいいという事でしたら、僕らもそっちを進めますけど。
聞き手 塗装だけでもいいんですね。塗装してからどの位もつものなんですか?
齋藤 今、塗料の寿命も延びてきているから、10年前の建物だとすると、これからのリフォームの方が長持ちする可能性が出てきているんですよ。今までは、10年たったら塗装して、また10年もちますよって言ってたんだけど、(今の塗料の耐久性が)12年になり、13年になり、15年になりだんだん伸びてきているんですよ。
聞き手 塗料の質が進化しているんですね。
齋藤 そう。で、新築とか、建売住宅は特にそうですけど、総予算でつくられているので。見た目は綺麗なんだけど、その強度というか、耐久性でいったら弱いものを選ばれる傾向にある。そういう場合、塗装の寿命が元々7年のものも存在するし、極端に言えば、5年で塗装し直さないといけない場合もあるんですよ。
一般的にお客様はそれは分からないから、普通に新築買ったから10年もつって思っちゃうけど、それは結構落とし穴だったりして。
聞き手 あっ、私だまされたのかしら…。
岡 いえいえ!悪いことではないんです。
堀越 そうそう。売っている物件が割安で買えたなと思ったら、必ず割安な理由があるだけの事ですから。安く買えたって思えばいいんですよ。
物件が高い価格であれば、それなりのものが使われているはずなんです。もちろん、販売会社が誠実に、建築のルールに基づいた販売をしていることが条件での話ですが。
堀越 確かにそうですよね。 分かります。
齋藤 そこが落とし穴で、結局一番ひどくなった時に手をかけたりすると、さっきの話みたいに全て張替えなくてはいけないとか、ペンキだけじゃなくて下地から直さなきゃいけないってなると、塗装の前に、数十万円もの修理費用が掛かっちゃうから。
それを避けるために、適齢期というか、定期的に見て今がやりどきですよっていう時にやってくれると、最低限の塗装だけで済むっていうタイミングを、僕らプロはおすすめしているんですよね。
齋藤・堀越・岡(爆笑)
齋藤 いやいや、それは違いますよ!!親切ではなくただの営業。「ここが壊れてますよっ!」なんて言って仕事をとるための。本来ちゃんと仕事をやっていたら、訪問販売ってやらないですよ。既存のお客様の対応でそんな時間ないはずだし。
一日一件取れるかも分からない営業マン何十人の人件費をどこで賄うかっていったら、お客様の施工費ですからね。単純に100万円で出来るものが、150万円、200万円になっちゃう訳ですよ。もちろん訪問販売をしている会社の中にも誠実な会社はあると思うけど…。
岡 皆さん、壁が剥げたり、落ちたりするまで何もしないんですよね。汚れている位だから我慢出来るとか仰るんだけど、「汚れが付く」=「傷んでる」っていう事なんです。本来塗料(壁の状態)が健康であれば汚れないんです。
岡 そう。残らないからね。
齋藤 確かにそうなんですが、足場を使わずにハシゴでやったらその分人手(人件費)が多く掛かりますし、ちゃんと塗れないじゃないですか。だから、綺麗な塗装をするための最限のコストと思ってもらった方がいいですね。
堀越 せっかく足場を掛けて塗装工事するなら、屋根だけ、外壁だけじゃなくて両方一緒にやった方が絶対いいです。あと雨樋や軒裏とか細かな所も!バラバラにやってしまうとその都度足場代が掛かっちゃうから高くつきます。一回の足場代よりも、長く住む大切な家ですから、計画的に長期のスパンでリフォームしていくのが一番の削減だと思いますよ。
齋藤 ホームスタッフですと、お客様に2週間前後とお伝えしています。1週間で出来ますっていうリフォーム会社、塗装会社がたくさんありますが、1週間で塗装工事をするって事はですよ、足場をかけて、撤去するだけでも2日間。通常は下準備で洗浄もします。ですので残りのたった3日で家を全部塗装するって事になりますからね。
岡 まず、出来ないですね。
岡 汚れを全部取って、次に塗料が周りに飛ばない様にしっかり養生。それだけでも1日は掛かります。ちゃんとやったら。
齋藤 そうすると、ペンキを塗る前の準備の段階で3日は掛かるんですよ。なので、天気が良くて最低2週間ってお伝えしているんです。「短期間で出来ます!」って会社は疑った方がいいですよ。
聞き手 なるほど。1週間でも長いと思っていましたが、実際にちゃんとやるとそれなりに時間が掛かるんですね。
岡 今は、関係無いですね。もう塗料が本当に良くなっているので。
齋藤 夏だと塗料が乾きすぎるとか、冬だと乾かないとか昔は言っていたんだけど、今はそんなに変わらないんですよ。
岡 僕らやっている本人にとっては塗りやすい塗りにくいってありますけど、かといってそれで塗装工事の費用に関連する訳じゃないですから。
聞き手 ちなみに塗りやすいのはいつ頃ですか?
岡 そうですね。やっぱり、秋と春かな。
齋藤 おいっ、それって、お散歩にいい時期じゃないか!?
一同(笑)
岡 金額に関しては、リフォーム会社を通しても、僕(塗装会社)が直接受けても、さほど変わりません。直接受注した時は、お客様との打ち合わせや、見積りを作るとか事務的な作業とかの経費は頂く事になりますので。
齋藤 1番塗装屋さんがやらないのは、例えば、屋根を塗っていたとして、一部の板金が傷んでようが、外れかかっていようが直さないよね。塗るのが仕事だから。
僕らの場合は、塗装の職人さんから常に「あれはどうしますか。」「これはどうしましょう。」っていう現場の疑問がある度に、僕なり堀越がそこに駆けつけて、こういった解決方法で仕上げようという判断をしながら、共同で仕事しているんですよ。職人さんが作業する前には不具合のチェックをしますし、下地作業などで確認して欲しい点検内容を話し合ったりもします。
岡さんは、リフォーム屋と共同で仕事をする事を覚えて、家全体をみる「リフォーム会社発想」が出来るけど。塗装会社によっては、それを嫌っている会社もいっぱいあるんですよ。「リフォーム屋とやると余計な事いうからやりにくい」って。余計な事じゃないんですよ。(笑)お客様の家にとって最善の方法を伝えているんだから!
聞き手 そうなんですか?!塗装屋さんは家の事を全て把握していると思っていました。
齋藤 先日もあったけど、屋根に不具合があってメーカーの不良が分かれば、即メーカーさんを呼んで交渉して保証で直してもらう様な、総合的な対応をするんですよ。これが塗装屋さんと、リフォーム会社のスタンスの違いです。
ですので、結論としては本当に家全体を考えられる塗装屋さんがいらっしゃれば塗装屋さんに直接頼んで下さい。そうでない場合は信頼出来るリフォーム会社を通すのがいいですね。
聞き手 なるほど。分かってきました。
齋藤 それは、全く違います。
岡 塗装って、「半製品」なんですよ。完成品じゃないんで、ちゃんとした順序、使う材料をまず自分で決めなきゃいけない。あくまで塗料はメーカーで作っているけど、それはただのモノで、それを何処に塗るか、どう塗るかは僕ら職人の判断だし、オープンタイムっていって、塗った後どの位で乾いてとか、塗料の性質を見極めて何回塗ってとか、ちゃんとした工程を組んで仕上げてこそ、初めてお客様に出せる「製品」になるんです!
だから、その工程をちゃんとやる人と、やらない人かで「製品」に大きな差が出てきます。それが塗装工事の怖い所、一番ね。塗装の価格が安いとしても、ちゃんとやらなければ安いんですよ。
齋藤 でも、出来た時(塗ったすぐ後)は分からないからね。
岡 そうそう。
齋藤 今の塗料はいいから、塗った後は綺麗に見える。岡さんの言う、塗るまでの工程がメチャメチャでもね。
聞き手 怖いですね…。
岡 僕とかが見ればすぐ分かりますよ。でも一般のお客様には絶対分からない。本当に怖いですよ。ちゃんとやらない会社は本当に多いですから。
齋藤 ここにもいますよ。元粗悪な塗装会社の人が(笑)
聞き手 えーーっ!堀越さんが?!
堀越 実はそうなんです。修行をしようと思ってある塗装会社に勤めたんですが、そこがひどい会社でして…。塗りもあまいですし、納期も短く本当にいい加減な会社でしたね。そういう仕事がずっと嫌で、辞めたいって思っていた時に齋藤社長に出会ったんです。
・塗装会社時代の堀越
聞き手 その会社とホームスタッフとの違いはどんな所ですか?
一番はお客様目線。お客様の立場に立つという点ですね。前の会社は、下請け専門で親会社が仕事欲しさに安く仕事を取ってきて、下請けに流すんですよ。そんな金額で出来る訳ないですから、当然仕事がいい加減になる。だから、お客様の事情や気持ちなんて分からずにただ塗装すればいいって感じに。結局は潰れてしまいましたね。その会社は。
聞き手 そうだったんですね。
堀越 自分の自宅のガレージを作る時に、偶然知人から紹介して頂いたのが齋藤社長です。だから自分はお客さんの立場で。
齋藤 そうそう。知り合いが、「いい奴だから面倒見てやってくれ」って。
堀越 塗装とガレージは同じではないけど、工事をする姿勢みたいなものが今迄の会社と全然違くて驚きました。自分の希望を叶えてくれようと一生懸命してくれましたから。色々な話をしている内に仕事の話が何気なく出まして、ホームスタッフにお世話になる事になったんです。お客さんと直接お話しが出来たり、仕上がりに喜ばれるのは本当に楽しいです。
齋藤 堀越君は、地元のお客さんからの信頼も厚くて営業責任者として頑張ってくれています。お客様の相談に乗ったり、アドバスする立場だから、塗装会社の裏の実態を知っているのは彼の強みですよ。パートナーの塗装会社を、厳しい目で管理出来るというのもありますしね。
岡 今までいかにもたすかって事ばっかり話していましたけど、塗装っていうのは見た目を変える、デザイン性を良くする事も出来るので。
岡 こういった変わった質感だったり、模様とかにも出来るんですよ。家の雰囲気がガラリと変わりますから。
聞き手 わーっ素敵!これは手作業でやるんですか?
岡 そうですね。色々ありますけど。機械だったり、ローラーだったり。デザインって重要じゃないですか?
聞き手 はい。そうですね!
岡 凝ったものは価格も高いですけど、例えば玄関の前だけアクセントとしてこういった塗装をするとか予算に応じて、アイデア次第で家の印象を変える事は出来ます。
聞き手 こんなに色々な種類があることは知りませんでした。
岡 これはほんの一部です。
聞き手 一般的の方は、こういったデザイン性のある塗装の種類をご存じなんでしょうか?
岡 うーん。あまり知られていないかもしれませんね。僕ら塗装屋は知っていても。
齋藤 極端な話、早かろう安かろうの塗装屋さんだったら、こういった凝った塗装はまず勧めないからね。その技術を持っていないと出来ないし。
岡 塗装は耐久性も大事ですけど、デザイン性も凄く大事ですよ。
岡 僕個人的には凝ったデザイン性の高い塗装が好きですね。木工塗装とか。細かな作業が得意です。うちの職人達でも、それぞれ得意分野が分かれますね。でも、どんなオーダーでも対応は出来ますよ。最近では仏具を塗ったりもしてますよ。
齋藤 やっぱり「早目の相談」ですかね。こういうと営業マンみたいですけど、本当にそうなんですよ。やろうという段階じゃなくて、「いつやろうか」という段階から相談してもらえるのが一番いいんです。
お仕事をご依頼して頂けるのは本当に嬉しい事ですが、もし、壁や屋根を見てまだ大丈夫だなっていう時は、「後何年後にしたらいかがですか」ってお伝えしていますし、早急に大掛かりな修理が必要な場合は状況をしっかりお伝え出来ますので。
岡 「品質」ですね。やっぱり信頼できる塗装屋さんに出会う事が大事。塗装屋なんで、周りに塗装屋が一杯いますけど…ちゃんとやっている人って、本当に少ないですよ。
齋藤 塗装は建築の業界の中でも一番アウトローの世界ですからね。
岡 他のものと違って、分かりにくいんです。悪く言うとちゃんとやらなくてもバレにくい。塗装に限った話ではないですけど…。結局は人なんですよね。
齋藤 たまにはいい事いうじゃねえか。(笑)
塗装談義に盛り上がり、急遽実際の塗装現場を見学する事に。瀬谷を拠点にするホームスタッフ事務所の近隣には自社で塗装工事したお家がいっぱいあります。それでは見学会のスタートです!!
齋藤 こちらのタイル柄お宅も、うちで施工したお宅です。
聞き手 サイディングですか?
齋藤 そう。サイディング
聞き手 綺麗!!どうやって塗っているんですか?
齋藤 透明。クリアを塗っているんです。元々の色(風合い)をいかせるようにご提案をしたんです。
聞き手 いつ頃やられたんですか?
齋藤 2年程前ですね。これも岡君とやった物件。
聞き手 本当に綺麗…。こう見るとサイディングも素敵ですね。
齋藤 そう。サイディングも(家を建ててから)途中途中でちゃんとしたタイミングでやってあげれば、ずっと綺麗な状態で保てるから。
岡 ここまでの仕上げ方をするのであれば、建ててから10年位がベストですね。
齋藤 そう。タイミングを見ないとこういう風にはならないんですよ!このタイミングを過ぎちゃうと、(壁が劣化して)ベターッとした感じで全体的に同じ色になっちゃうから。
聞き手 壁が古くなるとクリアじゃ無理ってことですか?
岡 そう。透明なんで。出来なくはないけど、ここまで綺麗にはならないんです。
齋藤 次行きましょうか。
齋藤 こちらは3年前位に施工させて頂きました。
聞き手 こちらも綺麗ですね。屋根も塗装されたんですか?
岡 そうそう。
聞き手 塗装前は、どんな状況だったんですか?
岡 携わっていませんが、同じ位の時期にいくつか建てられた建物がいくつかあるから見ると分かると思うけど、コケがあって…。
齋藤 そちらのお宅も、確か数年前に外壁の塗装されてたんですよ。でも、もったいないないなって思うのは屋根もやればよかったのにって…。屋根の下側の軒裏や雨樋とかも塗っていないみたい。
岡 確かにそう。予算もあるとは思うけど…。施工会社がちゃんと説明してあげたらよかったのに。おそらくこちらの僕らが施工したお宅よりも、数倍いい塗料使っているけど、だったら、多少塗料の質を落としても、屋根や細かな所を塗ってあげたいって僕なら思いますね。せっかくお金かけて足場をかけて工事しているんですし。
齋藤 さて、次行きましょう。
聞き手 ガイドみたいですね。(笑)
齋藤 こちらのお店の壁は綺麗に見えますか?
聞き手 はい、まだまだ綺麗な感じがします。
岡 いえいえ、実は完全に劣化しています。
齋藤 こうやって、触ってみると手に粉みたいな汚れが着くでしょ。
齋藤 これが「チョーキング現象」って言ってね。塗料の性能がかなり弱っている状態です。無いというか。塗膜がやけて、劣化して粉になるんです。
岡 今艶消しの感じですけど、もともとこの壁はツヤツヤだったんですよ。劣化して艶消しに…。
聞き手 艶消しの塗装は無いんですか?
岡 ありますよ。僕個人的には艶消しの雰囲気は好きですね。劣化した艶消しは別ですけど。基本的にはツヤ有の方が性能的には上。長持ちしやすくて、価格も高めですね。
岡 こちらは凄く参考になると思いますよ。同じ時期に建てられたお宅ですけど、左が2年位前に塗り直しをしたお宅です。右は何もされていない状態です。
聞き手 まったく別物に見えますね。
岡 そう、元々は同じ壁でも1回の塗装でこれだけ違うんです。塗装によって見栄えはもちろん、いいタイミングでいい塗装をして頂いているから、今後、無駄な工事も必要くて、結果的に家は長持ちして、余計な費用も掛かりませんから。
聞き手 塗装だけで、こんなに家の印象が変わるって知りませんでした。
今まで外装や屋根工事ってただ修理をするようなイメージだったから。
岡 塗装って、家の雰囲気を変えられるからいいんですよ。
聞き手 今の色を、全く違う色とか質感に変えるって事も出来るんですよね。
岡 そう、お好みでどんな風にも出来ます。毎日住んでいる人にとって自分の家の外観って凄く大事じゃないですか。高い費用を掛けて家を建て直さなくても、塗装だけでも、充分住み心地は変わるんです。
聞き手 なるほど!私の家の壁も塗装してもらいたくなってきました。
色々と教えて頂きありがとうございました。
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